18歳の決断で人生が大きくかわる『文系と理系はなぜ分かれたのか』

 

どうも、けんぴーです!

 

本日は、以前から気になっていた本を

紹介させていただきます。

 

タイトルにも書いたのですが、

現在の日本社会では

大学受験の時点で文系と理系に

分かれなければなりません。

 

この時に進んだ道によって、

将来は大きく変化するのです。

 

この本では文系と理系が分かれた歴史や

その背景にある事柄も多く書かれています。

 

今回、大きな目次の代わりに

小見出しを用いて多くの点で感じたことを

述べさせていただきます。

 

 

『文系と理系は

なぜ分かれたのか』

 

【文系と理系の格差】

まず、

理系は自然科学に、文系は人文社会科学に

大きく関与するものと分類されています。

 

本書では、基本的に

現在では、理系が優位に立っている

ということを中心にして話は進みます。

 

というのは

理系の方が専門分野を活かしやすい

ためです。

 

実際に研究開発や生産技術

そしてシステム・エンジニアなど、

専門として学んでいなければ

できない仕事が多いです。

 

対する文系は就職活動の際に

専門知識を期待されない傾向

があるようで、

ゼミなどが仕事と共通する部分が多いため

「学習内容」そのものより

「学習内容を通して得られる知的能力」

が重視されており、

文系学生が大学で学んだ内容は重視されません。

 

歴史的に文系と理系を比較すると、

20世紀初頭に文系は輝きを見せ、

特に法学部は大変重用されました。

 

しかし二度の対戦を経ていくと

理工系の教育や研究に投下される

資金は大幅に上がり、

更に第二次世界大戦後もこの傾向は変わらず

1950~1960年代に

「国民経済に貢献する理工系」

という考えが政策レベルで広まり、

完全に「儲かる理工系」が作り上げられました。

 

 

 

【有利とされる理系。博士卒は..】

ただし、理工系の博士卒は実際に存在するようです。

この問題は、

「企業が欲する人材」と「博士卒人材」

との間にミスマッチがあるためです。

 

日本では新卒一括採用制度を採用し、

大学4年を終えると

「なるべくブランクがないように」

企業に属して職業訓練を受けることが

重要であると認識されます。

そのため、大学院の重要性は薄れています。

 

一方アメリカではそのような制度がないため、

卒業後は経験を積んだ中途採用者も

ライバルになって就職活動をするのです。

そのために、

「どのようなスキルや専門性を有するか」

という点を非常に大切にします。

 

そのため、アメリカでは大学院に進むことで

専門性を大いに学ぶことができ、

就職においては大きな意義をなしますが、

専門性よりもブランクのなさ

を意識する日本では、

大学院の重要性が薄れてしまっているのです。

 

せっかく理系の学生が大学院に学び

他の学生より深い理解や専門性を得ても、

今の日本の就職制度では

ほとんど有利とされないのです。

 

このことは大きな問題で、

日本が今後研究や開発の中心を

担っていく理系博士卒の人々が

日の目を見ず活躍できないのです。

 

このままでは日本に進歩は訪れません。

この点においては、アメリカの制度に則れ

とまでは言いませんが、

似た方法を用いなければならないでしょう。

 

 

【学歴よりも学位を優先せよ】

私も本当に強調したいのですが、

「学位よりも大学名で就職が

大幅に有利になるのはおかしい」

と思いませんか?

 

有名大学に入学する学生は、

入学試験において高得点を取ることができ

優秀な方々ではありますが、

入試と卒後の働き方に

明らかな相関関係があるとは思えません。

 

また、大学名で就職が有利になるのであれば、

大学で受ける高度な教育が、

産業において全く活かしきれない

のです。

 

大学での講義がほとんど考慮されておらず、

入学時の成績が考慮されるのであれば、

大学で講義を自由に学び、考える必要は

あるのでしょうか?

 

 

【性差による文系理系】

一般に「理系=男子」「文系=女子」

という考えは世間で広く受け入れられています。

それは、男子は物理や数学が得意で

女子は言語能力、つまり国語や英語が得意

という「固定観念」に縛られているためです。

 

実際にPISAテストによれば、

数学や科学の成績が低くなる大きな要因は

「自信の有無」であり、

生まれつきの才能はほとんど関係ないようです。

 

つまり

女子は男子に比べて「自分にはできない」

と考えやすいため、といった単純明快な理論です。

 

しかし、日本では

例えば先ほども述べたように

「女子は理系科目が苦手」

と考える人が多く、その考えが

教師にもある程度広まっています。

 

そのため、実際の現場では教師も

男子に多く質問を投げかけたり

男子に厳しくする場面を見て

「自分にはあまり関心がない、

またできるという期待を抱かれていない」

という風に女子が思い込んでしまい、

より一層「自信のなさ」につながってしまうようです。

 

女子の理系科目問題は、男子でも同様に

言語リテラシーに当てはまります。

 

大人たちの性差による決めつけによって

子供達の将来が大きく削られた結果、

「理系=男子」「文系=女子」

という結果が生じているのです。

 

性別に関わらず個々の自由に任せて

将来を考えられる社会が最も素晴らしいですが、

日本においてそのような社会を実現するには

今までの固定観念を壊さなければならず、

実現することは中々難しいことでしょう。

 

 

 

【まとめ】 

 現在の日本では理系の方が「専門的」な

知識を得られるため就職や収入には

有利であると考えられています。

 

しかしこの文系と理系の裏には、

「性差」による大人たちの考えが

子供達に大きな影響を与えているのです。

 

また大学では未だに学位より学歴、

つまり出身大学に重きを置いた

就職試験を行っているところが

多いようです。

 

このような社会のもとでは

生まれた時点で将来に

大きな不公平が生じてしまいます。

 

 また今回、見出しとしては挙げませんでしたが

著者の隠岐さんは

この本を書き始めた時は文系と理系という

「2つの文化」は近づいて一つになる、

と考えていたが、

実際にはどんどん多様化している。

と述べられており、

読み進めていくうちにこの「意味」が分かりました。

 

本書ではその意味を詳しく、歴史と絡めながら

説明してくださっています。

 

高校生の段階で文系と理系に分けられ、

大学に入学し就職された方も多いと思います。

 

一度「文系」と「理系」の意義について

詳しく知りたい方は、

ぜひ本書を読んで見てください。